これは私が父親に聞いたお話です。聴いたのは昭和の頃でしたから、ずいぶん前のお話です。
高知には仁淀川と言う川があるのですが、その仁淀川でのお話になります。
最近は、仁淀ブルーという美しい水の青で観光化を図っているようですね。中津渓谷で流しそうめん食べたなあ・・・。
さてこの仁淀川、昔は沈下橋がたくさんありました。沈下橋と言うのは、洪水時には橋面が水面下になる橋のことだそうです
【占い師の怖い話】小雨の降る深夜に沈下橋を車で渡る
沈下橋には柵がありません。なので車で渡ると転落事故を起こすこともあるようです。
また洪水の時には橋が水面の下になるので、雨になると非常に危ないんです。
父は小雨が降る晩に、車で沈下橋に侵入したそうです。。
暗いし川の水音は車のすぐ下・・・。
少し遠回りすれば安全な橋があるのに、なぜかその危ない沈下橋に侵入。
昔なので車はセダンで、チェイサーでした。
ソロソロと落ちないように車をすすめる父。
水面に橋が浮いているかのように闇に浮かんでいます。
その橋は実際より狭く感じ、水音が恐怖をあおります。
【占い師の怖い話】雨も風も関係ない?フワフワと浮かんでいる何か
「ん?」
父は前方に何やら変わったものを見つけました。それは白いゴミ袋のような、風呂敷のようなものです。
「風に乗って飛んできたのかな?」
沈下橋では風があると、車が揺れることもあるのですがそれほどの風を感じません。
まあ車の中では感じないくらいの風なんだろうと、父は思って背筋を正して車を進め始めました。
ところが。
ゴミ袋は意思を持っているかのように、形を変えながらまっすぐ自分の方に飛んできます。
風に吹かれて川に落ちるのなら納得できるのですが、それはフワフワとまっすぐこちらに飛んでくるんです。
「不思議だなあ」
と父が見ていると、それはずいぶん遠くからまっすぐ車に飛んできます。
「!」
急に恐怖を感じた父。アクセルを踏もうとしましたがここは沈下橋。
運転を誤れば増水しかけた川にそのまま車ごと落ちてしまいます。
ゴミ袋はどんどん飛んできて
バサッ
とフロントガラスに張り付きました。
「ヒッ」
車を進めることができず、フロントガラスに張り付いたゴミ袋に視界を奪われ立往生。
雨がひどくなり、沈下橋が沈下すればその真ん中あたりにいる父も無事ではすみません。
体感でずいぶん長い時間、ハンドルに顔を伏せていたのですが、おずおずと顔を上げてみると。
ゴミ袋は消えていました。
父は慌ててゆっくりと車を進め、沈下橋を抜け出しました。
「鬼太郎の一反木綿の短いやつ」
と父。一反木綿は高知の妖怪ではなく、鹿児島県肝属郡高山町(現・肝付町)に伝わる妖怪なのですが、似たようなものがもしかしたら仁淀川にもいたのかもしれませんね
雨の沈下橋で出会いたくないものですが・・・。
仁淀川の怖い話私も持っているまでまたお話したいと思います。
ではまた